パリと乾燥と私

7月、東京はまだ梅雨明けず、じめじめとしている。この湿度は、わざわざ大切な服や靴をピンポイントで狙ってるかのようにカビを生やしたり、しかしおかげで我々の肌の潤いを保ってくれている。

フランス、特にパリは本当に乾燥している。移動の飛行機内は、砂漠と同じ程度の乾燥と聞いたが、真冬のパリは、飛行機を降りても大して差がないように思えるほど乾燥がひどい。

真冬のフランスに行くまで、乾燥の辛さを実はよく知らなかった。

マドレーヌ寺院からのパリの冬、灰色の空で寒いだけでなく、乾燥している

冬の滞在時は、どんなに気を付けて手を洗うごとにクリームを常に塗り続けていても、すでに全く油分を受け付けなくなった我が手には、爪の横に日本では見たこともない大きさでささくれができ、常にどこか血が滲んでいる始末である。

しかしその分、乾燥対策のクリームの充実は素晴らしい。狭いコンビニ程度の広さのスーパーでも、年中さまざまなボディ・ハンドクリームが揃っている。そして天然製品が好きな国らしく、スーパーマーケットでさえ、BIO製品が必ず置いてあり、そんな様々のクリームや、オイルを必要以上に毎回買い込む。そして帰国後は、ミニサイズのお土産クリームを配り歩いては、いい匂いと喜んでもらって、満足している。

フェアトレードのシアバターを使った商品、アーモンドオイルやアルガンオイル配合…なんとも心地よい響きだ。

左からNUXEはちみつのハンドクリーム、CAUDALIEぶどうエッセンスのリップクリームとハンド・ネイルクリームは、空港の薬局で購入。Marseillaisアーモンド顔・ボディクリーム、MONOPRIXオリジナルのBIOアルガンオイル、Marseillaisのローズの香りのアルガンバターなど配合ボディクリームは、観光客なら一度は入ったことがある?スーパーMONOPRIXにて購入。

ところで乾燥の刃は、もちろん肌だけではなく髪、喉へとあらゆるパーツへ向かう。

髪はパリの水質が硬質なので洗髪でバサバサになるとよく言うが、夏の滞在では特に問題ない自分の髪が、冬には入浴後に絡まって、ドライヤーの風で乾かしきることが不可能になり、櫛は通らない。砂漠のようになった髪をオイルで寝かしつけてごまかしてやり過ごす。

そして、見た目以外に、年々ダメージなのが、実は喉である。

コロナ前には医療機関以外でのマスクの習慣がない欧州で、鼻と口をマイナスの乾燥した冷気から守ることはほぼ不可能で、ストールで顔下半分をぐるぐる巻きにしても、必ず喉からやられてしまっていた。

喉が弱ったら、温かいスープで喉と体を温めてと、まず思いつくのだが、フランスに温かいスープは元々はあまりないことに気づく。カフェなど気軽に温かい飲み物が手に入るのはコーヒー、バンショ―(ホットワイン)、ショコラショー(ホットチョコレート)と、あくまで飲み物で、スープの提供が組み込まれるのは、Menu(ムニュ)と呼ばれるいわゆるフレンチのフルコース料理くらいだろうか。

さらにそのスープでさえ、提供されるのは、底の浅い縁広のスープ皿に、日本人からしたら「温かいすりおろし野菜」と呼びたい野菜をこしたポタージュなどの美食が入っている。もちろんおいしいものだが、喉を温めるスープ、つまり汁物を期待していると、程遠くてがっかりしたりする。

そういう時は、ぜひベトナム料理に行ってほしい。フランスでも人気のベトナムレストランでは、牛や鶏のエキスの香草が入った温かなフォーが手頃に食べられて、現地でも人気が高い。フランスはベトナム内戦時の移民が多く、今は3代目くらいでフランス生まれフランス人となった、元ベトナム貴族の子孫なども多いそうで、とにかくそんな背景はよく知らなくても、体が弱った際の温かくやさしい汁気たっぷりのスープに、同じアジア人の安心感と心地よさを感じるのである。

生のもやしと香草を別添えもうれしい

PHO 144 📍144 Avenue Jean Jaurès, 75019 Paris

あくまでパリでのピンポイントの個人的印象なので、一般論ではないが、ベトナムの人は、フランス現地で移民として生き抜くアジア人は必然的に強くなる必要があるだろう中でも、人当たりが柔らかくて優しい人が多い印象がある。それも常にスリに気を付けてピリピリしてパリ街歩きをする中のひとときの休憩、ほっとするのだ。

日本人のラーメン店も冬は主に現地の人が行列を作るほど大人気なので、やはりこの乾燥した空気ではスープより汁物、フランス人も欲しいのでは…と思ったりする。

最近はパリ市内なら、少し高級なスーパーで、健康志向のブームに乗ってインスタントのみそ汁なども買えるのだが、日本ほど種類も選べずたまに韓国製や台湾製だったり、まさに自分が欲しい種類ではない可能性も高いので、そんな理由でフリーズドライの味噌汁とどん兵衛は、欧州に行く際にはいつも必ず持参している。

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