フランスから帰国する際のスーツケースは、だいたい行きより5~6キログラム増えて帰ってくる。これだけは慣れたもので、量らなくても往路は大体13~16キログラムに収まり、それが復路の搭乗時にはスケールが18~21キログラムの針を示す。
いやいや今回は例外的に重いぞ、と思った際でも21~22キログラムの間、エールフランス航空の手荷物預け制限の23キログラム以下には必ず収まるという手腕である。
そもそも現地であまりおしゃれすることもないため、往路の中型スーツケースには、フリーズドライの温かいスープとか化粧水とか、現地で手に入らない滞在中の便利品や消耗品が大半を占めていることを考えると、実は結構な重さでお土産を買って来ていることになる。
ワインは、よほどワイナリーにでも行った場合を除いて、現地で買った方が日本より安いからという理由での購入はもう止めた。あくまで自分の場合だが、グランヴァン(高級ワイン)を買うわけでもないので、その差額など微々たるもので、スーツケースの中での輸送中の破損の心配や、空港間の持ち運び重労働に見合わないと気づいたためだ。
エコバック、ハンド・ボディクリーム、ボディオイル、リップクリーム、美術館の文房具、紅茶、クッキー、ブイヨン、缶詰、キャラメル、塩…
さらに冬であれば、溶けないので、多めのチョコレートやバターを買い込む。
バターのフランスから日本への持ち帰り入国自体はもちろん合法、また仮に、スーツケース2-3個に全部最高級バターだけをぎゅうぎゅうに入れ込んだとしても…税関で申請が必要な金額にはまず達しないので、関税という意味でも申請なしで問題ないだろう。1点だけ注意点としては、バターが半液体扱いのため、搭乗の手荷物には入れられないということだ。
スーツケースに入れて預かり荷物として持ち帰る必要があるため、自分の場合は万一溶けた時の保険として、ジップロックなどにしっかり仕込んで臨む。
ちなみにエシレバターなら、日本では100グラム約1,000円くらいのものが、たぶん現地では2ユーロくらいだったと思うので、4分の1くらいの金額である。
もちろんそれも往復の旅費を考えたら、フランスでわざわざ購入したところで差額としては微々たるものだが、どうせ行く際に買えるのであれば、日常品なのでいくらでも欲しいのと、小さな村で手練りで作られている生産量の多くないブランドなど、日本には入ってこないバターの銘柄もたくさんあるため、バターを買って帰国できた際には非常に達成感があり、満足度が高いのだ。
とはいえ直行便でも12時間のフライトに加えて、預けて到着から荷物がレーンから出てくるまで合計20時間近くもスーツケースに入れっぱなし、さらにその間、日本の空港貨物職員さんのそれより確実に手荒い現地での投げ入れ洗礼も受けることは忘れてはいけない。さらに輸送の温度にも保証はないので、そういったリスクは全て甘んじて受け入れる必要がある。
最初はダメ元チャレンジでやってみたが、今のところ自宅に到着するまで特に溶けた形跡もなくいつも無事持ち込めてしまっているので、冬の渡航時は、旅行後の達成感とセットでさまざまなバターを物色して買い込んで来るのが癖になっている。
気づけば自宅冷凍庫にも在庫がなくなってしまったので、追加購入しに渡航したいものである。