日本語になったフランス語から考察するフランス菓子

意外にそうとはあまり知られずに日本にフランス語は入ってきている。英語と比べて圧倒的に馴染みがないのが前提なので、「意外に多い」と感じるのかも知れない。

日本語になった仏語は、予想にたがわず、ファッションや食関係が多いようだ。

ファッション:

オートクチュール(haute couture)

ブルゾン(blouson)…

食:

レシピ(recipe)

オムレツ (omelette)

クロワッサン(croissant)…

焼き菓子のフィナンシェ(financier)は「金の延べ棒」を想起させる形からついた名で、英語でfinancial(ファイナンシャル)の意味である。

近年日本でも人気のカヌレ(cannelé de Bordeaux) は、ボルドー地方発祥のお菓子である。カヌレの単語の意味は、「溝が付いた」という言葉から来ているので、形を思い出していただきたい。

言わずと知れたPAUL(日本)
プチクロワッサンと抹茶カヌレ

日本語でも有名なケーキの名前で、そのまま発音すると現地で笑われてしまうのが「ミルフィーユ」。片仮名とフランス語は少し相性が悪いのだが、片仮名で書くと実は「ミルフイユ」(mille-feuille)が近い。あのサクッと軽く薄いパイの層を重ねる形状から納得しやすい「千枚の葉」という意だ。

これを日本語風に「ミルフィーユ」と言ってしまうと「千人の娘」(mille fille)の意味になってしまうから、一度現地のパティスリーでぜひ試して欲しい。

(全くウケないどころか、ただ通じないだけの可能性は高いので自己責任で…)

ボルドーに話を飛ばすと、世界最高峰とも言われるワイン銘醸地の2大産地がこのボルドーとブルゴーニュと言われている。

ボルドーのメドック地方が、世界的に有名な「シャトー・マルゴー」「シャトー・ラトゥール」など、メドック格付け制度で1級の格付けを持つ5大シャトーがあるワインの銘醸地である。

この地方はフランス最大流域を持つジロンド河の河口にあり、イギリス軍によって侵略されたイギリス領の歴史から、百年戦争(1339~1453年までのイギリス王とフランス王の長い戦争)を経て、フランス領地にまた戻ったことで、現在の世界最高峰のボルドーワインも無事フランスが取り戻した形だ。

ボルドー地方の高級ワインのワイナリー名に「シャトー・マルゴー」のように、「城」を意味する「シャトー」という単語がよくつくのは、ジロンド河の両岸には、文字通り城が何百キロに一城といった割合でたくさん建っていて、その城を起点にいまもワインを造っているからである。

そして実はワイン銘醸地と言われるこの地方の水は、石灰質が強すぎて井戸水は飲料に適さない。しかしそれがワイン醸造には適しているのだが、ワインと土壌の話になるので、一旦カヌレに戻そう。

この地方で大量に作られるワインのオリと呼ばれるワインを醸造する際に出るブドウのカスのようなもの、このオリをろ過するのに利用されていたのが、卵の白身。すると余るのは、もちろん黄身。ワイン醸造に利用して残った黄身を有効活用して生まれた黄身がたっぷりのお菓子がカヌレであり、いまでもボルドー地方発祥の銘菓として有名なのである。

日本も同じだが、地方の銘菓ひとつとっても歴史ありで興味深い。

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