エビチリとクレマン(お家ごはんとワイン)

中華料理のエビチリとクレマン(フランスのスパークリングワインの一種)の合わせについて。

初っ端から中華という応用編になるが、まず、ワインの合わせ方に”絶対の正解はない”というところから始めたいのだ。

有名ソムリエでもないのにずいぶん偉そうに聞こえるかもしれないが、たぶん有名ソムリエの方でも同じくこう仰るだろう。

中華は、テイクアウトやデパ地下・お弁当屋・スーパーでのお惣菜など含め自宅でもちろん、レストランでも比較的安価に楽しめて、さらに野菜などもたっぷり食べやすく栄養バランスもよいため、今や世界中で身近な素晴らしい料理だ。

ちなみにソムリエというのは、絶対にワインを誉めることしかしない。どのワインでも良い点を見つけ、料理と合わせてさらによくする、おいしくすることを考える、ワインにとって性善説的な職業なのである。

それは地元農家の人が精魂こめて収穫したトマトが、百貨店で売られている一級品ブランドトマトと比べたら酸っぱいと判断した場合に「これは酸味があって駄目だ、日光の当たりが足りないのでは…」なんて生産者の前で、頭ごなしの知識だけに囚われて文句をいう人はいないことが想像できるように、最高級ワインと比べてどこが劣っているといった目線でワインを語るプロはいない。

その酸っぱさが特長のフレッシュなトマトをいかにおいしく食べるかのように、そのワインに奇跡のマリアージュ見つけておいしく提供するのがソムリエの使命なのである。

…と、前置きが長くなったが、ケチャップの甘味と酸味、そして中華料理に特徴的な植物油を使った料理エビチリに、スパークリングワインはよく合う。繊細な泡が、口の中の油分を洗い、食が進む。実は同じ理論で餃子にも合う。ベストマッチはビールだけではないのだ。切れのよいスパークリングワインと中華、これは簡単で実は間違えのない組み合わせ。

🍷クレマン・デュ・ジュラ・ブリュット:Fruitière Vinicole d’Arbois(フリュイティエール・ヴィニコル・ダルボワ)

今回は特に、スパークリングワインの中でも、フランスのジュラ地方のクレマンという、シャンパンと同じ伝統製法(瓶内二次発酵方式)を用いて造られた、フランスの定められた地域で造られるスパークリングワインにした。

ブルゴーニュの東側からスイスとの国境であるジュラ山脈の間に広がるジュラ地方では、隣接するワインの2大産地と言われるブルゴーニュの影響を受けながらも、独特のワインを生み出す産地で、「ヴァン・ジョーヌ(黄色いワイン)」と呼ばれる、ジュラ地方でのみ造られている黄色を帯びた独特なワインが有名である。

このクレマンも、とても飲みやすいフレッシュな口当たりながら、ミネラルの骨格がしっかりしていて、それがたくさん後入れしたみじん切りの白ネギとよく合った。こういう後入れ白ネギなどの細かい技がよく合った時の喜びがあるから組み合わせ探求は癖になる。

では、Santé !(サンテ)※

※フランスで「健康」を意味し、乾杯の掛け声に使われる。

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