心躍る、フランスでの日本人建築家の活躍

日本人建築家が改装・建築をプロデュースするプロジェクトの大成功がフランス国内においても目覚ましい勢いである。

ニュースにも新しい2021年5月オープンのブルス・ドゥ・コメルス美術館の安藤忠雄氏については、もはやいうまでもない。天才の発想力とは、長き歴史と現代技術を少しの違和感もなく結びつけることが可能だということも証明してしまった。

2021年6月21日には老舗百貨店「サマリテーヌ(La Samaritaine)」のリニューアルオープン式典では、マクロン大統領や同百貨店の持ち主でもあるモエヘネシー・ルイヴィトン会長兼CEOのベルナール・アルノー氏が出席していたが、この出席者からもわかる通り、もはやただの老舗百貨店の改装という枠には収まらない国家レベルのプロジェクトということももちろんだが、観光客目線でもずっと改装中だなと思っていたパリ中心の歴史的建造物にも実は日本人建築家ユニットSANAA(妹島和世氏と西沢立衛氏)がプロジェクト指導していたのだから、これがなんとも誇らしい。

完成のニュースを見るに、外壁のパステル調のSamaritaineの文字やステンドグラスなど当時の面影を残した部分など、おおアールヌーボー!と心躍るパリのイメージそのものだ。

(実際に、アールヌーボー!なのかどうかは全く知らないので適当な素人感想にて悪しからず。)

これだけ有名なプロジェクトになると、同郷のフランス人が改装に着手しても、やれ歴史や文化との融合だと変化にとてもうるさいイメージのあるフランス人が、日本人の建築プロジェクトには好意的なことがほとんどなことにも驚く。サマリテーヌに関しては、建築途中で現地の景観保護団体がデザインへの不服申し立てを行い、一審の地方行政裁判所は、工事許可の一部を取り消す決定など紆余曲折あったようだが、結局見事な融合をはかったガラス張りの曲線部分も完成後の今となっては現地からも大絶賛という印象だ。

彼らの前提としての並外れた才能はもちろんとして、建造物へ一般市民でも意識の高い国への文化的敬意とフランスの街の歴史的背景への深い理解、その思慮深さゆえだろう…と日本人という共通項だけなのに、急に身内のように勝手に誇らしく思っている。

安藤忠雄氏はフランスに限らずもはや「世界の安藤」だが(ピラミッドを残したのは前世の安藤氏ではないかと個人的には思っている)、SANAA、坂茂氏など、パリでも知る人はいまやもちろん多い。

個人的には坂氏が、あの名声と能力を未来に残る荘厳豪華な建築物のプロジェクトにすべてを費やすことももちろんできるのに、しかし世界中で今生きている人々を活かすための災害支援建築にご尽力されていることに感銘を受けている。ドキュメンタリーで、坂氏が段ボール棒を自ら運んで現場の職人として、日本の被災地の人々の今日の生活を救う様子を見たときには、年々動きが鈍ってきたこの心も久し振りに震えるほど感激した。無私無欲でこれほどの才能を費やせるってすごい、うむ、坂氏の偉業をたたえるには、この程度の文章力ではあまりに陳腐になるので、このくらいで自粛。

とにかく、素晴らしい才能の日本人建築家が大好きなフランスの地でも求められていることは、昔でいうところの田崎信也さんが初めてアジア人として1995年の世界ソムリエ大会でぶっちぎりの能力で突破したこと、いまやフランスで日本人料理人やパティシエが技術的に認められていることと同じように、とにかく単純にうれしく元気が出るものだ。

それは現代のグローバル社会の繁栄において、敢えて民族性や国民性を強調することは、複雑なバックグラウンドを持つグローバルな文化・人々に対しても時代遅れの思考だとは思いつつも、どこに眠っていたのか本人も知らなかった謎の民族的愛着心を呼び起こす矛盾に満ちた、身勝手で純粋な賞賛。

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